おやつにハニワは入りますか?season2

今はハニワよりも土偶にハマっている。

ジャニーズの「音楽」ってなんだろう

ジャニーズの「音楽」ってなんだろう?

それを考えた一つは、NEWSが「音楽」を武器として選んだ時だった。


私は四人になってからのファンだ。

2014年からまともに追うようになり、彼らが「四人の音楽」を選択した前後をかろうじて見届けることができたと思う。

当時テゴマスがうまくて、コヤシゲはまだまだ。あのダンスで生歌やるのかあ、と歌番組のたびにヒヤヒヤしたのだった。

次のタイミングは「四部作」のアルバムとツアーをやる、と彼らが表明した時。

ジャニーズでは異例中の異例だと思った。

私の知る限りでは、毎年コンサートをやるとはいえ、そんな最低でも四年かかるビックプロジェクトなんて聞いたことない。

そしてなによりユニークだったのは、一作品ごとに世界観ががっちり決まっていて、独立した世界が広がっていたこと。

さらに、その世界がひそかに繋がっていたこと。

三作目から四作目にかけて、その前後のつながりは次第に明らかになるのだが、謎解きをしているようで、まるで物語を読んでいるかのようで、今思えばとても面白い作品だった。

ただ、従来の「ジャニーズ」を求めるファン層には響いたのか、と言われるとそこは微妙である。

 


四作目の時に、四人が三人になった。

あの時は薄々感じていたとはいえ信じられない、という気持ちでいっぱいになった。今でもその決断をしたことには許していないのだが、そういう現実があった、ということを「NEWS」というグループの歴史として受け止めることはできるようになった。


膨大な歌の部分を担っていた一人が去ったことで、三人へのパート割りがまた変わる。

人数変遷が激しいグループ故に、音源と今のパート割りが合わないなんてことは日常茶飯事で、そんなもんだと受け止めていたのだが、いざ、一年前に出たアルバムの人数と、始まったツアーの人数が違うと咀嚼するのに時間がかかった。

今でも「STORY」ツアーはあまりうまく落とし込めていない。


四部作が終わり、次に彼らが出したタイトルは「音楽」だった。

ど、直球のタイトル。

またここで、覚悟を決めたのだな、と思った。

「あと一人抜けたら終わりでしょ」なんて、四人の時にも言っていたのだけれど、そんなこと言ってたら三人になっていた。

でも三人になったらなったで、吹っ切れちゃったのか、いや、「STORY」までは若干お通夜モードみたいなところもあった。というかファンがお通夜モードだった。

「音楽」というタイトルを付けただけあって、これまでの強い「物語性」の縛りは薄くなり、色とりどりの曲が並んだ。

このアルバムをひっさげたツアーも、よりどりみどりの楽曲が並んでいた。

そして、何よりも、全身で、それこそ等身大の魂を燃やしながら歌を奏でる三人の姿がそこにあった。

アルバムよりも、生で聴くのが一番いい、となり、結果NEWSのコンサートでは過去最高の回数足を運んだ。

最終公演、明日からこの音が聴けなくなるのかと思うと非常に寂しくなったことを思い出した。

きっと、「幻の四人のSTORY」というどうしようもなくもう叶うことないものに対する執着みたいなものが、「音楽」ツアーを通してようやく成仏したんだろう。憑き物が落ちたというか、個人的にそんな感じがした。


「NEWSの曲は応援歌が多い」とファンは良く言う。ファンが好きな曲の上位に来る曲は大概応援歌である。それは非常にジャニーズらしいと思う。

でも、よくよく聴くと歌詞は意外と赤裸々だったりする。泥臭い人間の唄。

だから時に予想以上のエネルギーを持つため、心が弱ってると逆に聞けない、なんて経験をしたこともある。


最新作、NEWS EXPOが発売された。

今年2023年はデビューから20周年となる。

てっきり他のグループのようにベストアルバムを出して、周年ツアーをやるのだと思ったが、オリジナル+ベストアルバムのような形態のアルバムとなった。

初回盤ABと通常盤で中身は多少違うのだが、おおまかな構成は、一枚目がオリジナル、二枚目・三枚目がベスト、といった感じである。

この、二枚目・三枚目のベスト部分の曲には、過去の楽曲も入っている。

しかも、再録バージョン。全て三人の歌割りに変えて、現在の彼らの声が入っている。

だがしかし、厳密な曲名には(2023再録)とか、(2023ver)とか、「再録であることがわかる表記」が全くされていない。

ちゃんと調べるほど好きな人、つまりファンくらいじゃないと知らない情報である。

これはどういうことか?

本人たちの意思として、わざわざ再録なんてつけなくてもいい、となった、という事実だけははっきりした、ということは言える。

このあとの未来、何があるかわかんないし。

本人たちからこう提示されると、パートが変わっただの、変わらない方がよかっただの、あーだこーだ言ってるのがアホらしくなってくる。

ま、今の彼らを信じて見続けることが大丈夫なんじゃないか、という希望のようなものと、この時代何があってもおかしくないもんな、という諦念のようなものを胸に抱えていくしかないなあ、と苦笑いしてしまうのだが。

 

「NEWS」は楽曲の物語を語らせたら誰にも負けないと思う。

 

 

 

 


話は変わる。

SixTONESの作品に触れるようになり、「2022は危機感があった」という話を耳にするようになった。

それは音楽的な話らしく、そこから今年のシングル「ABARERO」が誕生したりと、明らかにグループのターニングポイントになっている。

じゃあSixTONESの音楽ってなんだ?と考えた時に、真っ先に出てくるのは「ジャニーズっぽくない」だと思う。

ただ、アルバムを聴き込んでいくにつれ、「それってほんとか?」と思うようになってきた。

確かに彼らの楽曲は、まず癖が強い。一回聞いて「???」となるほど、パート割が細かくて、歌詞も多くて、バックでなる楽器の音も細かくて、とにかく情報量が多い、そんな傾向がある。

あと英語の歌詞が多い。たしかに。

ただ、よくよく聞いてると意外とどっかで聞いたことあんな、となるポイントが一個くらいある。

 


つまり、初めて聞いた時のインパクトが強すぎる曲が揃っている、のではないかい?と、思う一方明らかにニッチなジャンルも潜んでいたりする。


私の好きな曲に「Need you」(アルバム「声」初回盤A収録)があるのだが、これはジャニーズにあんまりない感じではある。なんせ曲の雰囲気が「トランス」寄りっぽい。私はサカナクションも好きなのだが、サカナクションのインスト楽曲みたいだな、と最初の感想はそれだった。

他にもコンサートでお馴染みのぶち上げ曲は大概クラブやダンスミュージックのジャンルに分類されるであろう曲が多い。みんなで声出す曲がここまでないのは逆に面白い。あ、「Boom-Pow-Wow」は一応シャウトしろみたいな歌詞はあるけど、ブラスサウンドが強いのでラテンとかそっちっぽいよな…と考えている。

いわゆるロック調で「飛べー!」とかそういうのないよね、って話。嵐でいう「Oh yeah!」みたいなさ。

拳突き上げるより、ヒラヒラした手のひらを上下させる感じ。わかる?

ただ、SixTONESもジャズっぽい曲は無いので、そこはジャニーズっぽさが増すので避けてるのか、単に本人たちの好みなのか、という謎はある(なお、全曲聞けているわけではないのであれば教えてください。)


一方で「彗星の空」は直球のエモーショナルなロック。爽やか。

「Good Luck」とか「ふたり」とか、「僕が僕じゃないみたいだ」とかは普通のジャニーズポップである。タイアップ付きのシングル曲というのもあるけど、あの「マスカラ」の後のリリースシングルですからね、これ。んで、どうやらこの辺で「POPによりすぎた」というのが先述の危機感に繋がるらしい。ちなみに2022年のシングルリリースを並べるとよくわかるのだが、表題曲であんまり遊んでないのである。本人たちの音楽性の危機感がシングル表題曲でわかるグループってこれまで見たことないけど……。


なので、「SixTONESらしさ」ってもっと噛み砕くと「幅の広さ」じゃないのかなあ、と認識を改めている。

たしかに「ジャニーズっぽくない」という言葉の方がインパクトが大きいし、本人たちも自覚してるし、わかりやすいのかもしれないのだが、あまりにも色々なところに足を突っ込みすぎて実感がわきにくい。

 


その幅広さの強みが抜群に発揮されたのが、シングルカットされた「ABARERO」と「こっから」の二作品、と最近考えている。

普通「ABARERO」テイストの曲はアルバムに入って、コンサートでやっておしまい、になると思う。ジュニアが拾ってくれたらラッキー。それを「ノンタイアップ」で「シングル」として発売させるというのがまず強い。本人たちも原点回帰!!!と2022年の10月ごろから話していたというのでそりゃソニーさんも「お前らに乗るしかねえな!!!」と鼻息荒くするわな。

 

さらに、こんなに個性を爆発させたシングルの次に「こっから」という、これまたタイアップだからこそシングルカットできた曲を間髪入れずに発売させるという大技。これはスケジューリングも含め企業努力がすんばらしいと思う。なんせ、未だ週間オリコン一位を取らねばならんので、発売日の選択は非常にシビアになっているのである。そんな中、4月と6月に出したのは純粋にすごいのである。

 

もしもの話にはなってしまうが、「こっから/ABARERO」というダブルA面で出ていたかも、という可能性は無いわけではなかったのだ。

時期的にも、楽曲のパンチ的にも。

でもそうしたらインパクトが一回になるし、威力も落ちるよな。うん。

あとそんなに前々から話してたら、SixTONESくんたち絶対アルバムになんて入れないし、一個ずつシングルで出したい!!!ってごねるわ。

 

さて、味付けが濃い二作をリリースした次のシングルが「SixTONESの中ではジャニーズっぽい」とSNSで言われている「CREAK」なのがこれまたユニークなのだ。

でもジェイストームはあんなに細かくリズム刻んだ曲にはしないだろうよ、と思ったりする。そんな変態なのは意外とJEの方がやる、と思っているのはわたしだけだろうか?…そのあたりは多分NEWSのカップリング曲で片鱗を見かけてるから耐性がある、のかもしれない。

 

SixTONES」は「SixTONESが思うSixTONESという作品」として楽曲を演ずるのがうまい、と思っている。

 

 


ちなみに、音楽について考え始めたそもそものきっかけは、私のジャニーズの原点「嵐」だったりする。

よく忘れ去られがちな二枚目のアルバムが、今の嵐じゃ考えられないくらいとんがっているのだ。

よくファンが選ぶ名盤に出るのはその後の三枚目以降のアルバムが多く、それらはファンになった人に進めることが多く見られる。

でも、嵐を齧り始めの人にこそ、二枚目の「HERE WE GO」を聞いてほしいのだ。

嵐のパブリックイメージとアルバムの色で裏切られてほしい。

あれを知ってるからこそ、「ジャニーズって舐めたらあかん」って耐性がある、と思っている。

シングル曲とアルバム曲の噛み合わなさも、あのアルバムの魅力の一つだ。

 

 

グループの数だけ、曲もあるし、音楽のかたちもある。

だから、「〇〇らしさ」とかに縛られすぎず、本人たちがやりたいこと、楽しいことをやってほしいな、発信してほしいなと思うのだった。