私は地方公務員である。
4月から窓口担当の部署になったので、住民票や税証明や戸籍謄本やらを発行している。
なんならなんでも受け付けるところなので年金やら介護制度やら子ども医療やらなんでもありである。
仕事のために新しい知識を得られる機会なので、やってる分にには面白いのだが、窓口で対応しているといかに普段の生活で、住民票や戸籍に触れていないということがわかる。
というわけで今回は覚えておいて損はない話をしようと思う。
住民票。
簡単に言うと、自分が今どこに住んでいるか?というものを示すもの。
生活の本拠地を指すもの。
引っ越しをしたらちゃんと手続きをしよう。
元々住んでいたところでは「転出」、新しく住むところでは「転入」の手続きになる。
同じ市町村の中での引っ越しだと「転居」になる。
うちの自治体の単語で説明するが、ほとんどの場合同じだろう。
ちなみにマイナンバーカードを持っていると、転出手続きの時に「転出証明書」が発行されない。転入手続きの時に自動的にマイナンバーカードが必要になるので忘れずに持ってきて。
住民票には色々記載することができる。
世帯主。これは必ずしも戸籍の筆頭者と一致しない。あくまで住民票上で主として登録されている人の名前が載る。
なので一人暮らしの場合は自分の名前が入る。実家に住んでいる場合は父か母の名が入ることが多い。
続柄。これは世帯主から見た関係性を示している。
例えば、世帯主が自分から見た父であれば、自分の続柄は「子」になり、母は「妻」になる。
なので一人暮らしの場合は「主」になる。
本籍地と筆頭者。
ここだけ戸籍の内容が書かれる。
詳しくは戸籍の部分で記載するのでここでは省略する。
個人番号(マイナンバー)
正式名称が「個人番号」なので、申請書や窓口では「個人番号」と呼ばれてますが、マイナンバーカードの裏に書いてある12ケタの数字のこと。
通知カードを無くして、さらにマイナンバーカードも作りたくない!でも番号は知りたい!となった場合は、住民票を取るとわかる。
ただし、マイナンバー記載の住民票は本人しか受け取れない。代理人はもちろん、血のつながった家族でも受け取れないので要注意。
あくまでうちの自治体の運用だけど多分どこでもこういう対応になると思う。
ちなみに住民票も「世帯全員」と「世帯の一部」という発行の仕方がある。
「世帯全員」は言葉の通り、家族全員分載ってくる住民票。
「世帯の一部」はその中の一人だけ記載した住民票。
戸籍
法務省のホームページではこう定義されている。
生まれてから死ぬまでの身分関係が辿れるって感じっす。
本籍。
それは「戸籍を置いてある場所」のこと。日本の場合だと、地番さえあればどこの住所にもおける。
なので皇居に置いてる人もいるとか、というのは有名な話。
なので、先にも書いてあるが、住民票の住所と戸籍の本籍が異なるというのはよくあること。
実家住みで尚且つ一軒家の人は一致してる場合もあるが、地方から出てきて都会に出たとか、出身地と違うところで生活してる場合はだいたい違うはず。
筆頭者。
今の日本の戸籍制度だと、一夫婦一戸籍。
なので一般的なパターンだと、自分の父親が筆頭者になっている。
結婚した時にどっちの名字になったかでここの筆頭者が変わるので、それは自分のパターンに当てはめてほしい。
なお、筆頭者は死んでも変わらない。
戸籍謄本と戸籍抄本。
謄本は「戸籍全部の写し」。
抄本は「戸籍の一部の写し」。
特に指定がなければ「戸籍謄本」を取ってしまうのが楽。
戸籍に載っている人が全員亡くなると、その戸籍は「除籍」と名前が変わる。
例えば、婚姻するとその婚姻関係になった二人が新しい戸籍に移るのだが、未婚の場合だと親の戸籍にそのまま残る。
なので、両親が亡くなっていても自分の未婚の兄弟が生きていたりすると、その戸籍がまだ除籍になってなかった、ということもある。
実際はこんなにわかりやすい戸籍になってないこともあるので、暇な時に一度戸籍謄本を取ってみると面白いかもしれない。
さて、戸籍謄本を取る(窓口で発行してもらう)には、必ず筆頭者と本籍が分からないとなりません。
そこが分からないと、いくら血が繋がってても出せない。
そこで住民票の出番。
発行手数料は追加でかかるが、急ぎで欲しい人は住民票と戸籍謄本を同時に取ってください。
ちなみに戸籍謄本にはこれまでの婚姻や離婚、養子縁組などの履歴が載るので、実は自分が養子だったとか、親が離婚してたとか、そういうのも分かる。
窓口には時々家系図を作りたいので取れるだけ戸籍を取りたいと来る人がいる。
これは結構大変である。
枚数も金額もすごいことになる。
戸籍謄本は450円だが、古い戸籍は750円になる。古い戸籍が残っていれば残っているほど金額が高くなっていく。
合計が5,000円近くなることもあるのでその覚悟で取りに来て欲しい。
戸籍の広域交付
令和6年の3月から、全国の戸籍が取れるようになった。
例えば横浜市の窓口で札幌市本籍の戸籍が取れる、というもの。
ただ、3月のシステム開始直後から鯖落ちした。
5月もシステムの調子が悪く。10回試して取れなかったのに1時間後に試したらすんなり取れたという日もあった。
何故戸籍の広域交付システムでチケット争奪戦をやらねばならんのだと思った。
これからもそういう事案がありそうなので、そんな日に当たったとしても怒らないでほしい。
発行する側としては「国何やってんだよ!」なのである。とほほ。
マイナンバーカードで発行できる
自治体によっては、コンビニのマルチコピー機で住民票や戸籍謄本の発行ができる。
これも自治体によるが、うちのところはコンビニで出す方が手数料が100円安く設定されている。
ただしこれも戸籍の広域交付システムの影響を受けるようで、そのシステムが落ちるとコンビニでも出せないらしい。
またまたとほほである。
ちなみにマイナンバーカードの暗証番号は3回間違えるとロックがかかる。
というわけで、ざっと思ったことを書いてみた。
戸籍は民法と戸籍法という法律に基づいているので、それが根拠になる。
法律のプロではないので間違ってるところもあるかもしれないが、まあ日常生活で使う分には困らないはず……
了